米国への留学を検討されている方からのご相談の中で、最も多いのがF-1ビザに関する質問です。ビザの取得手続きそのものよりも、取得後の就労ルールや、うっかり違反してしまった場合のリスクについて、正確に理解されていない方が多い印象を受けます。今回は、実務の観点から、F-1ビザの基本と注意点を整理してお伝えします。
F-1ビザとはどんなビザか
F-1ビザは、米国の認定された大学・カレッジ・語学学校・高校などにフルタイムで通う学生のための非移民ビザです。学業を主目的とするビザであり、働くことを主目的にした滞在は認められていません。
似たような学生ビザとして、文化交流プログラムや交換留学生向けのJ-1ビザ、職業訓練学校など非学術系プログラム向けのM-1ビザもありますが、一般的な大学・大学院留学にはF-1が使われます。
申請の流れ
F-1ビザの申請は、まず入学先の学校からI-20フォーム(Certificate of Eligibility)を受け取ることから始まります。その後、SEVIS費用(現在$350)を支払い、DS-160というオンライン申請書を提出します。最後に、日本国内の米国大使館または領事館でビザ面接を受けます。面接には、パスポート、I-20、SEVIS費用の支払い証明などを持参する必要があります。
就労に関するルール——ここが最も重要
F-1ビザで注意が必要なのが、就労に関する厳しい制限です。「アルバイトしてはいけないの?」とよく聞かれますが、正確には「条件付きで認められている」という状況です。
キャンパス内での就労(On-Campus Employment)は、在学中は週20時間まで、長期休暇中はフルタイムで働くことができます。大学のカフェテリアや図書館、研究室などが典型例です。特別な申請は不要ですが、I-20の有効性とSEVIS登録の維持が前提条件になります。
キャンパス外での就労は、原則として認められていません。ただし、いくつかの例外があります。
CPT(Curricular Practical Training)は、専攻分野に直接関連するインターンシップや実習への参加を認める制度です。単位取得が必要なケースや、必修プログラムとして位置づけられているものが対象になります。利用にあたっては、原則として1学年間のフルタイム在籍が必要で、DSO(指定学校担当官)の承認とI-20へのCPT記載が求められます。ここで気をつけていただきたいのが、12ヶ月以上フルタイムでCPTを利用した場合、後述するOPTの利用資格を失う可能性があるという点です。
OPT(Optional Practical Training)は、卒業前後に専攻分野に関連する職種で就労できる制度で、最長12ヶ月間認められています。STEM分野(科学・技術・工学・数学)の専攻者は、さらに24ヶ月の延長申請が可能です。USCIS(米国市民権・移民局)への申請と就労許可証(EAD)の取得が必要になります。
もう一つの例外が、Severe Economic Hardship(深刻な経済的困難)による就労です。留学後に予期せぬ経済的事情が生じた場合に申請できる制度で、DSOの推薦とUSCISの承認を経て、学期中は週20時間までのキャンパス外就労が認められる場合があります。
違反した場合のリスク
F-1ビザの就労規定に違反した場合、その影響は非常に深刻です。ビザステータスの喪失にとどまらず、不法滞在とみなされ、将来のビザ申請や入国が困難になることがあります。最悪のケースでは、強制退去処分や再入国禁止に至ることもあります。
「知らなかった」は通用しないのが移民法の厳しいところです。少しでも疑問がある場合は、行動する前に必ず専門家に確認することを強くお勧めします。
最後に
米国の移民法は複雑で、かつ頻繁に変更されます。F-1ビザの取得・維持、CPT/OPTの申請、就労ルールの解釈は、特に細かい判断が求められる分野です。
当事務所(田中良和国際法律事務所)では、ビザ面接の準備からI-20に関する疑問への対応、OPT・STEM OPTの戦略的申請、万一のステータス違反後のReinstatement(回復手続き)まで、個別の状況に応じたサポートを提供しています。
留学前に一度、専門家に相談されることをお勧めします。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ・ベイエリア、ロサンゼルス) カリフォルニア弁護士・日本弁護士 田中良和
