米国でビジネスを始めたい日本人の方から、非常によくいただくご相談の一つが、
「会社を設立して、その会社をスポンサーとしてE-2ビザを取得できるか?」
というものです。
結論から言えば、適切に設計すれば可能なスキームですが、実務上は多くの落とし穴があります。
本記事では、カリフォルニア州で実務を行う弁護士の視点から、E-2ビザ取得の基本構造と注意点を解説します。
1. E-2ビザとは何か?
E-2ビザは、日米間の条約(投資条約)に基づくビザで、以下の特徴があります。
- 日本人は申請可能(条約国)
- 米国企業に相当額の投資を行うことが必要
- 投資した企業を通じて米国で事業運営が可能
- 更新が可能(実質的に長期滞在も可能)
つまり、**「投資家ビザ」**と理解すると分かりやすいでしょう。
2. 「会社設立→E-2ビザ取得」の基本スキーム
典型的な流れは以下の通りです。
ステップ①:米国で会社を設立
- カリフォルニア州であれば、以下が一般的
- 株式会社(Corporation)
- LLC(Limited Liability Company)
ステップ②:投資の実行
- 自己資金を会社に投入
- 設備、在庫、リース契約、人件費などに使用
ステップ③:ビザ申請
- 在日米国大使館または領事館で申請
- 会社が「E-2企業」として認定される
ステップ④:ビザ取得後、渡米・事業開始
3. 「自分の会社がスポンサーになる」という意味
ここで重要なのは、E-2ビザでは、
第三者の会社ではなく、「自分が出資した会社」がスポンサーになる
という点です。
つまり、
- あなた(日本人投資家)
- あなたが設立・出資した会社(米国法人)
この2つがセットで審査されます。
4. 投資額はいくら必要か?
法律上、「最低金額」は明記されていませんが、
- 一般的には $100,000〜$200,000以上
- 業種によってはそれ以下でも可能
ただし重要なのは金額よりも、
✔ 投資が「実質的(Substantial)」か
✔ 事業が「実在し、運営される」か
です。
5. よくある誤解と落とし穴
❌ とりあえず会社を作ればよい
→ 会社設立だけでは不十分。実際のビジネス実態が必要
❌ 資金を口座に入れておけばよい
→ 資金は実際に使われている必要(At risk)
❌ 一人会社でもOK
→ 可能ですが、以下が問われます
- 将来的な雇用創出
- 事業の成長性
❌ 小規模すぎるビジネス
→ 「Marginal enterprise(生活費ギリギリ)」と判断されると不許可
6. カリフォルニア州での実務ポイント
カリフォルニアで会社を使ってE-2を取得する場合、以下にも注意が必要です。
- 州登録(Secretary of State)
- 年間フランチャイズ税(最低$800)
- 銀行口座の開設(日本からは難易度あり)
- 商業リース契約(審査で重視される)
7. ビジネス例
実務上、E-2で見られる業種:
- レストラン・カフェ
- 美容室・サロン
- 貿易・ECビジネス
- コンサルティング会社
ただし重要なのは業種ではなく、
「実体があり、利益を生み、雇用を生むビジネスか」
です。
8. 重要な点
E-2ビザは「書類勝負」の側面が強く、
- ビジネスプラン
- 資金の流れ(Source of Funds)
- 契約書一式(リース・仕入等)
これらの整合性が極めて重要です。
特に、
- 日本からの送金履歴
- 投資資金の合法性
は厳しくチェックされます。
9. まとめ
会社設立を通じたE-2ビザ取得は、
- ✔ 正しく設計すれば有効な手段
- ✔ しかし「形式だけ」では通らない
という特徴があります。
【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の案件についての法的助言を構成するものではありません。具体的な状況については、必ず専門の移民弁護士にご相談ください。
カリフォルニア拠点(ロサンゼルス・ベイエリア・サンフランシスコ)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和
