田中良和国際法律事務所|米国ビザ申請サポート

【2026年最新】H-1Bは「運任せの抽選」から「賃金で差がつく加重抽選」へ

2026年のH-1Bキャップは、これまでの「ランダム抽選」から大きく設計が変わり、提示賃金(OEWS Wage Level)に応じて当選確率が変わる“加重抽選(Weighted Selection)”が本格適用されます。:contentReference[oaicite:0]{index=0}

「高い賃金=優遇」という単純な話に見えますが、実務上は勤務地・職務要件・複数登録の扱い・本申請(LCA等)との整合が絡み、誤ると却下だけでなく将来の申請にも悪影響となり得ます。:contentReference[oaicite:1]{index=1}


  • 初回登録期間:2026年3月4日 正午(ET)〜 3月19日 正午(ET)
    (参考:太平洋時間は通常「午前9時」開始が目安):contentReference[oaicite:2]{index=2}
  • 登録方法::contentReference[oaicite:3]{index=3}のオンラインアカウントで電子登録:contentReference[oaicite:4]{index=4}
  • 登録料:1名あたり $215(返金なし):contentReference[oaicite:5]{index=5}
  • 選考通知:登録締切後に選考、2026年3月31日までに通知予定:contentReference[oaicite:6]{index=6}
  • 本申請:選ばれた場合、所定期間内(USCISの通知に従い)にI-129等を提出:contentReference[oaicite:7]{index=7}

ポイント:「登録期間は短い(約2週間)」ため、賃金レベル・勤務地・職務内容の確定を2月中〜早めに済ませるのが現実的です。


新ルールでは、登録時に付与される“抽選口数”がOEWSの賃金レベル(I〜IV)に応じて増えます。基本イメージは次のとおりです。:contentReference[oaicite:8]{index=8}

  • Wage Level I:抽選口数 1
  • Wage Level II:抽選口数 2
  • Wage Level III:抽選口数 3
  • Wage Level IV:抽選口数 4

この制度は、:contentReference[oaicite:9]{index=9}に掲載された最終ルールで示された枠組みに沿っており、2026年2月下旬(2/27前後)に発効する旨が複数の実務解説でも確認されています。:contentReference[oaicite:10]{index=10}

結論:従来よりも、“エントリーレベル(Level I)中心のスポンサー”は相対的に不利になり、中上位レベル(II〜IV)を提示できる案件が有利になりやすい設計です。:contentReference[oaicite:11]{index=11}


今回の改正で、実務家が特に注意喚起しているのが“最低賃金レベル優先(Lowest-Wins)”です。

要点はシンプルで、同一受益者について複数の登録が存在する場合、最も低い賃金レベルが採用される、というルールです。つまり、どこか一件でもLevel Iが混ざると、他のLevel IV登録があっても、重み付けがLevel I相当まで下がり得るという設計です。:contentReference[oaicite:12]{index=12}

(1)複数雇用主から登録されるケース

候補者が「A社(高賃金)」と「B社(低賃金)」双方で登録されると、全体が低いレベル側に引っ張られる可能性があります。:contentReference[oaicite:13]{index=13}

(2)勤務地が複数あるケース(カリフォルニア企業は特に注意)

例えば、サンフランシスコ本社+別州の低賃金エリアでの勤務が予定される等、勤務地が複数あると、低い方の水準に合わせて評価される整理が取られています。:contentReference[oaicite:14]{index=14}

実務アドバイス:「とりあえず登録して、当たってから勤務地や給与を詰める」は危険です。登録時点で、職務・勤務地・給与レンジの設計をできるだけ固めましょう。


登録は早く簡易に見えますが、当選後の本申請ではLCA(Labor Condition Application)等を含め、職務要件・賃金・勤務地の整合が厳しく見られます。無理にレベルを吊り上げると、結果として本申請で破綻しやすくなります。:contentReference[oaicite:15]{index=15}

近時の解説では、「当選確率を上げるために不自然な賃金レベル設定をすると、USCISが問題視し得る」旨の注意喚起がされています。:contentReference[oaicite:16]{index=16}

企業側の現実的な落としどころ:

  • 「市場相場に沿う」賃金帯で、職務要件と整合するレベルを選ぶ
  • 勤務地(リモート含む)を曖昧にしない
  • Job descriptionを“後から整える”のではなく、登録前に整える

もう一つ無視できないのが、いわゆる「$100,000の追加費用」です。これは、一定の新規H-1B申請について、追加の支払いを求める枠組みとして、USCISのアラートや:contentReference[oaicite:17]{index=17}のFAQで言及されています。:contentReference[oaicite:18]{index=18}

報道でも「新規申請に対する高額費用」として大きく取り上げられ、適用範囲・例外・実務運用が重要論点になっています。:contentReference[oaicite:19]{index=19}

実務上の示唆:候補者が米国外にいる/領事手続(consular processing)になるケースでは、企業側の予算・採用計画に直撃する可能性があるため、登録前に「想定ルート(米国内COSか、領事手続か)」を確認しておくべきです。:contentReference[oaicite:20]{index=20}


2025年末〜2026年にかけて、渡航制限(いわゆるTravel Ban)や安全保障審査強化に関連して、USCISが一定の“高リスク国”に紐づく申請について最終審査を保留(hold)する運用を拡大した、という情報が大学の国際オフィス等からも注意喚起されています。:contentReference[oaicite:21]{index=21}

少なくとも、Form I-129(H-1B)等を含む広い申請類型が影響を受け得る旨が整理されています。:contentReference[oaicite:22]{index=22}

ここでの実務ポイント:

  • 対象国籍・出生国等の要件に該当する場合、「当選=すぐに就労開始」にならないリスクを織り込む
  • OPT/STEM OPT、他の就労ステータス等、バックアッププランを早めに検討する

雇用主(企業)向け

  • 賃金レベル(I〜IV)を、職務要件と勤務地に基づき早期に仮置き
  • 勤務地が複数/リモート混在なら、“最低レベル優先”で不利にならない設計にする:contentReference[oaicite:23]{index=23}
  • 候補者が他社でも登録されうる場合、Lowest-Winsのリスクを理解してコミュニケーション設計:contentReference[oaicite:24]{index=24}
  • $215×登録人数のコストを予算化(返金なし):contentReference[oaicite:25]{index=25}
  • 該当し得るケースでは、$100,000費用の適用可能性を検討:contentReference[oaicite:26]{index=26}

留学生・候補者向け

  • 雇用主に「想定賃金レベル」「勤務地」「職務要件」を早めに確認
  • 複数社での登録は、Lowest-Winsで不利になり得る点を理解:contentReference[oaicite:27]{index=27}
  • OPT/STEM OPT等の有効期限・Cap Gapの見通しを整理(バックアップ必須)

Q1. 「高い給与を出せば必ず当たる」制度ですか?

いいえ。あくまで当選確率が相対的に上がるだけで、枠(キャップ)がある以上、確実性はありません。:contentReference[oaicite:28]{index=28}

Q2. 複数社から登録されたら当選確率は上がりますか?

従来の感覚と異なり、複数登録がある場合に最低賃金レベルが採用されるため、状況によっては不利になり得ます。:contentReference[oaicite:29]{index=29}

Q3. 登録時に高いレベルを選んで、当選後に給与を下げても大丈夫?

非常に危険です。登録時の前提と本申請・雇用条件の整合性が崩れると、申請結果だけでなく将来にも影響し得ます。:contentReference[oaicite:30]{index=30}


FY2027からのH-1Bは、もはや「運任せの抽選」というより、賃金・勤務地・職務要件を精密に設計できる雇用主が有利になりやすい構造です。:contentReference[oaicite:31]{index=31}

特にカリフォルニアでは、リモート勤務や多拠点勤務が一般化しているため、Lowest-Wins勤務地別賃金水準の論点が表面化しやすい点に注意が必要です。:contentReference[oaicite:32]{index=32}

免責:本記事は一般情報であり、個別案件への法的助言ではありません。具体的な登録戦略・賃金レベル設計・本申請方針は、個別事情(職務、学歴、勤務地、企業体制、在留状況等)により大きく変わります。


カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和

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